皆さん、暦の始まりは1月からですが、年度って4月に始まりますよね
なぜ4月からなの?
暦と同じで1月からでよくない?
って思ったことありませんか?
私は少しは疑問に思ってはいましたが
「春夏秋冬」という言葉があるくらいだから、春が始まり、それと米の仕込みが春から始まっていそうだから
という漠然としたイメージでしか捉えていませんでした
そこで、今回つっこんで調べてみた結果、「時の政府の赤字隠しのためだった」という以外な事実も判明しましたので、ここでご紹介したいと思います
それでは、いってみましょう
年度とは?
そもそも年度とは(Wikipediaによると)
- 暦年とは別に、特定の目的のために規定された1年間の区切り方
- 会計など事務作業を目的としたものが中心で、またその多くは政府機関や業界団体等により決定されている
年度の種類
年度は大きく3種類あります
会計年度
- 国などの公的機関や民間企業の「会計の開始月、決算月」
- 事業者が自由に開始月を決定できる(公的機関は4月始まり)
海外と結びつきが強い事業者は海外に合わせる場合が多く
そうでない場合は公的機関に合わせて4月が多いです - 期間的には通常1年ですが特殊な例もあります
日本では戦争時に設置する臨時軍事費特別会計が戦争開始から終結までの期間を一会計年度としていました
アメリカ合衆国では特殊な歳出について2年間を一会計年度とする例外規定が設けられています
学校年度
- 学校における1学年の期間
- 4月始まり
「早生まれ」という言葉もここが起源ですね(早生まれの詳細はこちら)
その他
- 農作物・加工品や工業製品でも年度がある
例)砂糖の収穫の統計に関わる年度は砂糖年度<10月開始> - 砂糖以外でも「いも:9月開始」「生糸:6月開始」「農薬:10月開始」等々沢山あります
今回の話題は、我々になじみの深い会計年度(公的機関)と学校年度についてです
まずは会計年度から
会計年度という言葉は明治になってから使われ始めましたが、明治以降で4回も変わっています
年度の変遷はこんな感じになります
7世紀末期~明治元年(以降和暦で記載)
「旧暦1月 – 旧暦12月制」
国家の会計を1年間で区切る方法は、律令国家の段階から存在していたとみられている
明治2年
【1回目】新米の収穫後に合わせて「旧暦10月 – 旧暦9月制」へ
明治6年
【2回目】旧暦(太陰太陽暦)から新暦(グレゴリオ暦)への改暦に合わせて「1月 – 12月制」へ
明治8年
【3回目】地租改正法により地租の納期合わせた「7月 – 6月制」へ
明治18年
【4回目】財政赤字隠しのため「4月~3月制」へ
ここで4月になった!!
ここからが核心部分(4回目の詳細)
明治15年
朝鮮半島の壬午事変を機に清国と緊張関係になり、海軍拡充(軍事費増)の路線になる
明治17年
軍拡路線で財政が大赤字の危機に!
時の大蔵大臣、松方正義が、その穴埋めとしてやったのがこれ
第1弾.翌年分の税金を今年分に繰り入れして急場をしのげ!
具体的には、明治18年度の「酒造税」を、明治17年度に繰り入れた
ただ、そこで問題が
次の18年度では、その酒造税の税収がゼロとなり、堂々巡り!
そこで松方が考えたのが
第2弾.18年度の期間を3か月短くしてしまえ!
すごい荒業にでます
期間を12か月→9か月と3か月短くすることによって予算全体を少なくし、つじつま合わせした
それしかなかったらしい
少なくとも大赤字にはならない(^^;
結果、19年度の始まりが7月→4月となりました
期間を短くしたいのは分かるけど、なぜ4月なのか?
それは、穴埋めした酒造税の納期にありました
当時の酒造税は納期が3回あり(1期=4月、2期=7月、3期=9月)
となっていました
つまり、当時の酒造税の年度初めに合わせて4月になりました
会計年度の黎明期でのトライ&エラー
明治のその当時は社会全体が黎明期であり、年度に関しても当然で、いくつか変遷もあり、こういう荒業に出ることも珍しくなかったんだと思います
それ以前に3回もやってますからね
またか、という感じじゃなかったんでしょうか
今でいうトライ&エラーですね
この4月始まりが、今まで続いています
学校年度
次は学校年度です
学校年度はこのようになっています
明治初期まで
寺子屋:入学時期は自由、進級も適宜
明治5年
学制の交付により、9月開始
明治政府の徴兵が9月だったので、優秀な学生が兵隊に取られないようにという説があります
明治19年
国からお金の流れがあるので、国の会計年度に倣い4月開始に
結局、根本は政府の赤字隠しが原因なんですね
海外では?
では、海外ではどうなっているでしょうか?
会計年度
公共機関における会計年度の始期と終期は、国によって様々です
1月開始
中国、フランス、ドイツなど
4月開始
日本、イギリス、インドなど
10月開始
アメリカなど
学校年度
世界の多くの国々では9月開始が主流です
農家の子どもは農作業等を手伝っており、春から夏にかけては小麦の収穫や牧畜の出産で繁忙期に当たります
それが終わる秋に新学年が始まるようになった
やっぱり、昔はどこの国も子供は重要な労働力だったんですね
4月開始
日本、インドなど
8月開始
アメリカ(※)など
9月開始
中国、ロシア、アメリカ(※)、カナダ、ヨーロッパ各国
※アメリカは州によって異なる
海外では、日本のように会計年度と学校年度が同じ国は少ないようです
日本の場合、3月卒業→即4月就職 そして終身雇用
という流れがメジャーだったということになりますね
年度が先か?終身雇用が先か?
こちらについては別途調査したいと思います
今後変わるかも?
会計年度が4月からになってから今までで、1回だけ変更しようという運動がありました
1972年に当時の田中角栄首相が暦年制に変えようとしたそうですが
実施までは至りませんでした
当時の大蔵省などの反対だそうですが・・・
既に90年ほど続いてきており、もはや4月が当たり前となっていた制度なので、変えるのが大変だったのでしょうか・・・
現在は、その当時からも既に50年経過し、日本の終身雇用が崩れようとしている昨今、年度の仕組みも根本から見直される可能性はありうると思います
例)アメリカと合わせる
まとめ
以上が、「なぜ年度は4月に始まるのか?」についてでした
いかがだったでしょうか
まとめると、このようになります
- 会計年度は明治から4回ほど変わっており、最終的に今の4月になった
- 4月になった理由は戦費拡張のための赤字をごまかすための辻褄合わせだった
- 学校年度も国からのお金の流れがあるので国の会計年度に合わせるようになった
個人的には今のまま4月が良いです
なぜかと言うと
それは、
1.4月始まりが当たり前になっていること
それと
2.季節を感じられるから
ほんの一瞬の桜を見てお別れし、明るい陽を浴びた新緑を見て新たな道を歩み始められるからです
季節を感じながら生活できる、改めて日本人で良かったなと感じます
皆さんは4月始まりどう思いますか?
それでは、今回の素朴な疑問はこの辺で
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